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2017/07/05 厚生労働省機関 国立医薬品食品衛生研究所が 人工芝フィールドに
使用されるゴムチップの安全性に関する研究結果を発表



6月30日、厚生労働省の研究機関である国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)生活衛生化学部より、
人工芝グラウンド用ゴムチップの成分分析及びその発がん性等に関する研究」についてのプレスリリースが発表されました。

それによると、同研究所は、日本国内で流通している人工芝グラウンド用ゴムチップの発がん性リスク等の健康影響評価に資する情報を収集するため、人工芝用ゴムチップ 46 製品の化学分析を実施したということです。

化学分析では、日本国内に敷設される人工芝グラウンドに使われるゴムチップを対象に、金属類、多環芳香族炭化水素類及びその類縁化合物(PAHs 等)、ゴム製品の製造時に使われる加硫促進剤や老化防止剤などのゴム添加剤並びにそれらに由来する化合物(ゴム添加剤等)、及び揮発性有機化合物(VOCs)の含有量が測定されたということです。

その結果、血液系のがんを誘発するとされているベンゼンの検出量は定量下限値未満であったと報告されています。今回の金属やその他の化学物質の検出濃度の報告結果をもとに、同研究所は今後、溶出や曝露評価を含めた健康リスクの評価・検証を引き続き実施するものと思われます。

また化学分析と合わせて、特定の化学物質についての国際的評価機関、海外の公的機関の評価状況の調査も実施し、「現時点においては、海外のゴムチップに対する評価は概ね健康リスクが無視できるとしているほか、本研究で調べた範囲では、諸外国及び本邦においてこれまで、人工芝グラウンド上で競技する人や作業する人にゴムチップに起因する健康被害が生じたという学術報告は確認されていない」と報告しています。

この報告にあるとおり、近年、一部メディア報道で懸念が喚起された「人工芝フィールドに使用されるゴムチップ充填材の健康リスク、および発がん性との関連」については、これまで世界の複数の政府機関、民間検査機関により、数多くの研究・調査が実施されており、いずれの評価・検証によっても、現時点ではゴムチップと発がん性の因果関係を科学的に裏付ける証拠は示されていません。


以下に、近年、海外の政府・公的機関の下で実施された研究報告の一部をご紹介いたします。

オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)は、2016年12月に「廃タイヤのゴムチップ充填材を使用した人工芝上でのスポーツ活動は、安全である」とする調査報告書(2017年3月改訂)を発表しました。

この報告書では、この有害性物質は構造上、ゴムチップ粒の中に閉じ込められているため、実際に外部への放出量はごく微量であり、故に「人体への影響は事実上無視できる」と報告されています。

また、ゴムチップと発がん性の関連については、現時点で入手可能な文献からは、ゴムチップ充填材を使用した人工芝フィールド上でのスポーツ活動と白血病やリンパ節がんの発症との間に因果関係は認められなかったと結論付けています。さらに、それらのがんの発生の原因と成り得るとされる科学的物質のうち、ベンゼンおよび1,3-ブタヂエンはゴムチップ内に存在せず、2-メルカプトベンゾチアゾールはゴムチップ内に極めて微量しか存在しないことも指摘しています。

欧州化学機関(ECHA)は、人工芝フィールドに使用されている再生ゴムチップに含まれる化学物質の評価を実施し、2017年2月に、「人工芝フィールドを使用するアスリートや青少年、および人工芝の敷設・維持管理を行うスタッフへの健康リスクは極めて低い」と発表しました。

再生ゴムチップには、多環芳香族炭化水素(PAHs)、金属類、フタル酸エステル類、揮発性有機化合物(VOCs)、準揮発性有機化合物(SVOCs)等の有害物質が含まれていますが、ECHAはこれらの物質への経皮、経口、吸入を通じた曝露を検証しました。その結果、再生ゴムチップ内のPAHs濃度は、発がん性、変異原生、または生殖毒性(CMR)の化学物質に対するREACH規制(EUの化学物質規制)限界値よりはるかに低く、金属、フタル酸エステル類、ベンゾチアゾール、メチルイソブチルケトンの濃度についても、健康問題につながるおそれのある濃度よりも下回っており、再生ゴムチップへの曝露による健康リスクは極めて低いと結論しました。
またこの調査結果は予備的であり、新たな情報が入り次第更新するとしています。

米国環境保護局(EPA)は、過去に同局が実施した人工芝フィールドに対するモニタリング調査やその他の研究よりもさらに包括的なリスク評価を行うため、米国消費者製品安全委員会、米国疾病対策センターと共同で、2016年2月から人工芝フィールドに使用される再生ゴム充填材の潜在的健康リスクについての包括的調査に着手しており、現在も進行中です。

2016年12月の中間報告には、「廃タイヤゴムチップに含まれる全化学物質の特定」「廃タイヤゴムチップ使用人工芝フィールドの利用者の曝露シナリオ」「廃タイヤゴムチップ使用の遊び場の子供たちの使用方法」「関係者へのサポート」についての調査・取り組みの進捗状況が記載されましたが、調査結果の報告は含まれませんでした。同調査は米国の人工芝フィールドの安全性に対する過去最大規模を呈しており、化学物質の特定調査では、廃タイヤゴムチップが、米国各地の9つのタイヤ再生工場および40か所の人工芝フィールドから回収されています。回収サンプルの成分と曝露特性の分析調査は2017年まで継続されるとのことです。一部の曝露調査は、2017年の気温の高い時期に実施が予定されています。

また、米国ワシントン州保健局が実施した疫学調査結果(2017年1月発表)では、ゴムチップの健康リスクへの懸念のきっかけとなったリストで報告されたサッカー選手におけるがん発症数は、同州の同年齢の住民のがん発症率をベースにした予測数と差がない事が報告されています。

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