FieldTurf | ロングパイル人工芝のパイオニア フィールドターフ

フィールドターフが日本に上陸した理由(わけ)

天然芝に限りなく近いロングパイル人工芝フィールドターフを初めて日本市場にもたらした、ウィリー・バンクス。
そのきっかけは、日本の陸上競技場で目にしたある光景でした。


日本の陸上競技場で見た光景―芝生インフィールドが使用禁止?

1981年、現役の三段跳び選手として世界各国の大会に参加していたウィリー・バンクスは、ある競技会に参加するため日本を訪れました。試合開始前、バンクスは陸上競技場を見渡し、天然芝で覆われたトラックインフィールドに目をやりました。ところが選手たちがウォーミングアップをする時間になっても、誰一人芝生が敷設されたそのインフィールドに立ち入る人がいないのです。バンクスは驚きました。
「なぜ誰もインフィールドを使わないのだろう?」バンクスは不思議に思いました。米国の陸上競技場では、選手たちはインフィールドを自由に使い、芝生の上でウォーミングアップを行うのが普通だったからです。

その後、現役を引退したバンクスは1989年、中京大学の特別講師として再び来日しました。学生たちに法学や体育学を教授する傍ら、バンクスは、同大学の陸上部のヘッドコーチを務めていた安田矩明先生と多くの時間を過ごしました。ある時バンクスは、安田先生に、あの日本の競技場で見た光景を話し、なぜ誰も陸上トラックの芝生インフィールドを使用していなかったのか尋ねてみました。安田先生は、日本では天然芝を育て、維持するために一定の養生期間が必要となること、そのため芝生のインフィールドは年間60-70日しか使用できないことも普通であることをバンクスに教えてくれました。

バンクスはそれを聞いて、それではせっかくの芝生のインフィールドがもったいない、もっと頻繁に使用されるべきだと語りました。梅雨や雨の多い気候条件や、一年を通じて気温変化の大きい日本では、天然芝の維持管理が難しく、維持費も高額になります。実際、大切に育てた芝生を長く使うために、養生期間を設け、使用頻度を制限することは日本では必要な処置なのです。それでもバンクスは残念に思いました。「見るだけの芝生なら、盆栽と同じですね」―そんな冗談を言いながら、特に、地元の中高生たちが利用できる機会を増やし、彼らがもっとスポーツを身近に感じ、楽しむことができるようになれば良いのにとバンクスは考えていました。


日本と世界のスポーツ環境の違い

それ以来、バンクスは日本でのスポーツを取り巻く環境や状況に興味を持つようになりました。当時バンクスは中京大学で、ある特別セミナーを開始し、米国と日本のスポーツメソッドの違いを議論する機会を得ました。そして両国のスポーツ環境がいかに異なっているかを実感しました。日本では限られたスペース事情やその他の理由から、1つのフィールドを複数のスポーツとの兼用フィールドや汎用フィールドとして利用するケースが非常に多いことを知りました。対照的に、単一のスポーツを対象とした専用フィールドが多く普及し、中学校や高校でもアメリカンフットボール専用のフィールドを持つことが主流の米国とは状況が大きく異なっていたのです。

また、バンクスは日本人である息子たちが日本でサッカーをプレーしていたのを見て、米国でもサッカーをさせてみました。するとバンクスは、一緒にプレーしていた米国の子供たちが非常に激しいプレーをしていること、そして対照的に息子たちがあまりタックルをせず、攻撃的でないことに驚きました。バンクスは、日本の子供たちは土のグラウンドや砂入り人工芝のピッチでサッカーをすることが多く、その結果、転倒による怪我や摩擦による火傷や擦り傷のリスクにさらされており、一方で天然芝のピッチでプレーする機会が多い米国やヨーロッパの子供たちは、そのような怪我をあまり恐れることなくプレーできるのだと実感しました。
日本のスポーツが置かれている状況、環境に対する理解が深まる一方で、バンクスは次第に、日本のスポーツのハード面を充実させれば、必ず日本のスポーツレベルを高めることができると、強く思うようになりました。


フィールドターフとの出会い―「これこそ日本のスポーツ市場に必要な製品」

その後、米国オリンピック委員会や全米陸上競技連盟等における重要なポストを歴任する中で、バンクスは親しい友人からフィールドターフを紹介されました。そして「これこそ、日本のニーズにぴったりの製品だ!」と強く確信したのです。

当時、日本市場で出回っていた人工芝といえば、砂入り人工芝や、毛足の短いカーペットタイプの商品のみで、天然芝に近いと言えるものはありませんでした。対してフィールドターフは日本では見られなかったロングパイル人工芝で、天然芝さながらの外観、コンディションを備えた革新的な製品でした。

感銘を受けたバンクスは、この製品を日本に紹介したいと強く想いました。天候条件や養生期間などにより天然芝フィールドは使用できる時期や時間が限られてしまいますが、フィールドターフは条件によりますが365日使用できます。フィールドターフが日本で普及すれば、日本の中学校、高校の生徒たちがスポーツをする機会を増やすことができると、バンクスは胸を躍らせました。
そして強い熱意を持ってフィールドターフ社と交渉し、日本市場に高品質なロングパイル人工芝製品を導入することに成功したのです。


日本のスポーツ界で支持され、進化を続けるフィールドターフ

今日に至るまで、フィールドターフは、品質に厳しい目を持ち、プレーヤーにより良いスポーツ環境を提供したいと真摯に考える日本のお客様のニーズに応え、これまで多くのプロスポーツ施設、地域や学校の運動施設、企業のスポーツ施設に敷設されています。そしてその高い耐久性と品質はお客様の厚い信頼を得ています。また、安全で競技者の能力を最大限に引き出すことができるフィールドターフのサーフェイスは今日も、日本のプロスポーツ選手や、アマチュア、学生アスリートたちの足元を支えています。

バンクスの日本のスポーツをさらに強くしたい、子供たちがスポーツをする機会を増やしたいという信念は今も変わりません。そしてバンクスが日本に導入したフィールドターフも、そのロングパイル人工芝メーカーとしてのパイオニア精神を絶やすことなく、たゆまぬ研究開発によりさらなる技術革新・品質向上を続け、業界をリードし続けています。

バンクスは日本の若者たちがフィールドターフの上でプレーするのを見るのが大好きで、年に数回来日する際、機会に恵まれれば、フィールドターフ敷設フィールドを訪ねることを楽しみにしています。バンクスがフィールドに込めた願いに応えるかのように、彼らが輝くようなプレーを見せるたび、バンクスもまた瞳を輝かせ、嬉しそうに日本語でこう話すのです。
「いいね…すごくいいね!この子たち、もっともっと、上手くなるよ!」と。